『マスカレード・ナイト』★8
昨日がファイザーワクチン接種の1回目だったのだけど、時間があったので『マスカレード・ナイト』を観た。
前作『マスカレード・ホテル』はPrime Videoで観ていて好きだった。鈴木雅之監督の作品は『王様のレストラン』や『古畑任三郎』『HERO』で慣れ親しんでいるのでもともとタイミングが合えば観たいと思っていた。なので今回タイミングがあってうれしい。そして実際とてもおもしろかった。美術もキャストもほぼ前作からの流用なので目新しさは欠けるが、2時間退屈することなく作品を堪能できた。
警察に都内マンションで起きた殺人事件の犯人が、大みそかにホテルコルテシア・東京で行われる仮面舞踏会に現れるという匿名のFAXが寄せられ、新田刑事が再びホテルに潜入し、コンセルジュの山岸とともに事件の真相に迫る。
シナリオや美術に目新しさはない。良くも悪くも前作そのままだ。それが鈴木雅之監督の作風のせいなのか、原作によるものか、それともホテルの美術に変化を感じないないのかはわからない。目新しさを期待してはいけない。むしろ今作は物語の動向と、数多くの登場人物を映像的に違和感なく描かれていることを楽しむものだ。その点については超一流の作品だ。
木村拓哉と長澤まさみを軸にしながら、キャストそれぞれに出番を配分し、なおかつ印象を残す。全員が同時に動きながら観ているこちら側が混乱しない、その脚本と絵作り、そして編集の巧みさがいかんなく発揮されていたと思う。滅茶苦茶楽しかった。
ただ一つ余計なことを言うなら、登場人物があまり魅力的には見えなかった。木村拓哉も長澤まさみも沢村一樹も麻生久美子も高岡早紀も木村佳乃も渡部篤郎も、基本的にはめちゃくちゃかっこいい人たちなのに、好きになりそうなキャラクターが誰ひとりいない。萌えない。それほどまでにシナリオが今の時代と乖離している。支配人がパワハラまがいの倫理観を平気で口にする。それが少し気になった。
長所
- 多くの登場人物を動かしながら見る側を混乱させないシナリオと映像は見事
- 音楽と一体になったかのような編集は見事
- 原作未読の自分は完全に騙された
短所
- 前作と比べて目新しさはほぼない
- 音楽も美術に感心させられる要素が何一つない
- 一歩間違えればパワハラになりかねない倫理観が平気で覗かせるのでハラハラする
- 木村拓哉も長澤まさみも本人は素敵なのに、キャラクター自体はあまり魅力的ではない