『名探偵コナン 緋色の弾丸』★8

f:id:pitti2210:20211008214754j:plain

名探偵コナン 緋色の弾丸』を観た。大傑作。脚本は『相棒』や『科捜研の女』で脚本を担当する櫻井武晴。今作で劇場版のシナリオを手掛けるのは5作目だが、個人的には『絶海の探偵』以来の傑作だと思う。

監督は永岡智佳。監督としては2作目だが、コナン劇場版には2013年以降『ゼロの執行人』以外は携わっていて、彼女が助監督を務めた『から紅の恋歌』と前作『紺青の拳』は個人的にコナン劇場版のトップ5に入る傑作だと思っている。同時に今作もそのクォリティに達している。

とにかくキャラの動かし方がうまい。なにせ今作は探偵役がコナン、赤井、世良、羽田、世良ママがいるのだが、ほぼ全員にしっかりと見せ場を作っている。加えて小次郎、灰原、園子が空気になっていない。それぞれに役割がちゃんとあって、まるで『アベンジャーズ』並の群像劇として仕上がっていた。

その上でトリックの種、及び事件の背景もしっかりしていた。このあたりはおそらく櫻井武晴の脚本が優れているところだと思う。動機づけは特に上手で感心した。一方、子供が退屈しないための活劇要素もふんだんに盛り込まれていてひたすら感心した。あとどう観ても東京オリンピックにしか見えない、でも商標が使えないスポーツの祭典が堂々と登場していて、ネタバレになるので何も言えないけど、誰もが想像できる結末を迎えていて最高に笑えた。

と本当に大傑作。個人的なコナンのベストは『瞳の中の暗殺者』『絶海』『から紅』『紺青』なのだが、そこに仲間入りを果たす大傑作だったなのは確定。

とにかく永岡智佳監督は凄い。青山剛昌は自身の作品を用いて青山剛昌ユニバースを生み出したが、永岡監督はそれをルッソ兄弟並のクォリティで仕上げることができる稀有な監督だと思う。声優が一部年を取りすぎている、美術が子供向けすぎるなど欠点もなくはないが、どう考えても日本のミステリィの映像化作品で今一番おもしろい。来年の予告もすごかった。永岡監督続投は間違いないと思うけど、それを願ってます。