高橋徹也『KAIBUTSU 2021』 ★8

高橋徹也ライブ配信『KAIBUTSU 2021』を観た。本当は観客を入れた上で配信する予定だったが緊急事態宣言に合わせて無観客で行われた。しかしとても良いライブだった。

昨年リリースされたアルバム『怪物』のアナログ盤のリリースを記念したライブだったが、無観客になったため販売は延期となった。だから高橋さん自身思うことは絶対にあったはずだ。でも最初のMCで、

「今日は急遽、配信という形になったけど、俺たちのやることは変わらない。画面の向こうから何か芸術的な方法で応援よろしく!」

と言った時点で勝利が確定したと思う。実際『怪物』の曲がセットリストの中心だったのだが、演奏が若々しく、前半に挿まれた新曲が新曲だとわからなかったほど。実際にソニー時代に書きながら新曲としては昨年の『怪物』が初(?)収録となった「グッドバイ グッドバイ グッドバイ」と並べても遜色がない若さ、青さがほとばしる新曲だった。

後半は「ハリケーン・ビューティ」「大統領夫人と棺」というインディーズ時代屈指の名曲が惜しげもなく投下され、そして満を持しての「真っ赤な車」はまさに最高潮だったと思う。ライブのトップバッターとして場を盛り上げるのとはひと味もふた味も違う名曲感が溢れていて楽しかった。全体的にソリッドな印象が強かったのは、鍵盤のsugarbeansが今回は欠席だったことも大きいと思うが、『怪物』というアルバムのその先を指しているようにも思えた。最後の披露された新曲「昨日まで」もまさに80、90年代前半のロックで、高橋徹也らしくないのにどうしようもなく高橋徹也でめちゃくちゃ良かった。

スターパインズカフェ側の撮影も以前よりずっとすばらしくなっていた。去年、配信に不慣れでガチガチに緊張していた高橋さんとは思えないほど、今夜は余裕綽々だった。人は変われる。成長できる。高橋徹也は本当にかっこいいと思う。